L-カルニチンで妊娠率40%アップ?

妊活に効果的な栄養素やサプリメントはたくさんありますが、最近ではL-カルニチンが注目されています。

最近の研究では、L-カルニチンが卵子の質にアプローチして妊娠率を高めるという結果が出たことから、不妊専門クリニックなどでも、妊娠を望む女性にL-カルニチンのサプリメントを勧めています。

妊活に効果があるなら摂取してみたくなりますが、その前にL-カルニチンがどのような成分なのか分かりやすく解説していきますので参考にしてみてくださいね。

そもそもL-カルニチンって何?

L-カルニチンは、必須アミノ酸の一つのリジンとメチオニンから作られるとても小さな化合物で、その役割を一言でいうと

「細胞の成熟を助ける栄養素」

L-カルニチンは、私たちの筋肉細胞の「骨格筋」や「心筋」に多く存在していて、エネルギーとなる脂質の代謝に必要な働きをしています。

皆さまは、生物の授業で習った「ミトコンドリア」を覚えいますか?ミトコンドリアは、ほぼ全て生物の細胞に存在する小器官で、様々なエネルギーを作り出しています。

ミトコンドリアは、脂質をエネルギーに変える働きをしますが、脂質だけではミトコンドリアに取り込むことが出来ません。

L-カルニチンが脂質と結びつくことで、ミトコンドリアがスムーズに働くことが出来るようになります。L-カルニチンは名アシストという存在ですね。

ちなみに、ミトコンドリアは1つの細胞に約2000個が存在しています。人間の細胞は60兆個ほどありますから、その数は計り知れませんね。

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L-カルニチンは妊娠率40%アップ?

L-カルニチンは妊娠率40%アップ?
卵子や精子を作り出すエネルギーもミトコンドリアの働きが欠かせません。

卵子や精子を作り出すエネルギーもミトコンドリアの働きが欠かせません。

L-カルニチンはミトコンドリアを活性化させる働きがあることから、次のような妊活への効果が期待されています。

・卵子や胚の質の向上
・胎児胎盤機能の向上
・精子の運動性の向上
・精子数の増加
・性機能の改善

2012年の日本受精着床学会で、IVF大阪クリニックがおこなった「胚質不良例に対するL-カルニチンの有効性」についての研究が発表されました。

IVF大阪クリニックでは、2010 年 5 月から 2012 年 2 月までの期間、体外受精で胚質不良を認めた 29 症例(平均年齢 39.1 歳)の女性を対象に、L-カルニチン1000mgを連日投与しました。

L-カルニチン投与前後の採卵数や、胚移植後の妊娠率などを比較した結果、

受精率や胚盤胞到達率、良好胚盤胞率が上昇し、胚移植あたりの妊娠率も高くなることが分かりました。

その後も研究が進められ、凍結胚の移植でのL-カルニチン投与前後で、妊娠率が0%から40%に上がり、採卵の数や受精卵の成熟過程についても、Lカルニチンの投与で改善できることも分かっています。

採卵後の卵子や受精卵についても、L-カルニチンやα-リポ酸などの抗酸化成分を培養液に添加することで、酸化ストレスを減らして移植可能な胚盤胞に育つ割合が高くなりました。

L-カルニチがミトコンドリアを活性化させることから、体外受精に限らず妊活中の体作りに取り入れたい栄養素といえそうですね。

※参考文献IVF大阪クリニックHP
https://www.ivfosaka.com/

L-カルニチンは男性にも効果的!

L-カルニチンは男性の妊活にも効果があることが分かっています。

60名の不妊症男性に対し、L-カルニチン(2g/日)とL-アルチル-カルニチン(2g/日)を6カ月間投与したところ、精子の運動性が向上したという報告があります。

英ウイメンズクリニックの研究グループは、精子濃度との相関性を調べ、液中のカルニチン濃度が高いと精子濃度も高いことを確認しました。

これまで精子によい栄養素といえば亜鉛が主力でしたが、これからはL-カルニチンも体質改善に期待できそうです。

L-カルニチンの1日に必要な量は?

カルニチンは、加齢やストレス、栄養バランスの乱れなどによって体内での生成が減少しやすくなります。

ミトコンドリアのエネルギー産生を増やすためにも、アシスト役のL-カルニチンを常に保っておきたいですね。

L-カルニチンは、1日あたり200mg~500mgが必要量と考えられています。通常の食事から補える平均量は75mgと言われていますので、意識して摂取したほうが良さそうです。

厚生労働省では、1日あたりの摂取上限を約1000mgとしていますので、サプリメントで補う場合には摂取量に気をつけましょう。

L-カルニチンを多く含む食材

L-カルニチンは赤身の肉に多く含まれ、とくにラム肉に多く含まれています。

L-カルニチン多く含む食品(100gあたり)

ラム肉・・・167.8mg
鶏レバー・・・94mg
牛肉・・・76mg
ハム・ソーセージ・・・28.7mg
豚肉・・・21mg
鶏肉・・・10.2mg
豆類・・・5.7mg
牛乳・・・2.6mg

※AAプロジェクト 「医療従事者用資料」より

L-カルニチンたっぷりのおすすめのレシピ

ラム肉のバジルソテー
「ラム肉のバジルソテー」をご紹介します。

羊肉(ラム肉)は、L-カルニチンの他にも良質なたんぱく質や鉄、ビタミンB群、ミネラル類などが豊富で、妊娠しやすいからだの基礎づくりや栄養補給に役立つうえに、低カロリーというのが大きなメリットです。

ラム肉を調理したことがない方も、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

【 材料(2人分)】

ラム肉(もも薄切り)…200g
スナップえんどう…80g
塩…小さじ1/4
こしょう…少々
ドライバジル…小さじ1/2(生バジルなら20g)
おろしにんにく…1かけ分
オリーブオイル…大さじ1/2
サニーレタス…4枚

【 作り方 】

1、ビニール袋にラム肉と塩、こしょう、ドライバジル、おろしにんにくを入れ、袋の外からもみ込んで、1時間ほど冷蔵庫に入れます。

スナップえんどうはスジを取り、沸騰した湯に塩少々を入れて下ゆでをし、サニーレタスは洗って水気を切ります。

2、フライパンにオリーブオイルを中火で熱し、①を焦がさないように炒める。ラム肉の色が変わったら、スナップえんどうも加えてさっと炒めます。

3、サニーレタスを敷いた皿に盛りつける。

ラム肉は焼きすぎると固くなるので、②の工程では、ラム肉がピンク色に変わったタイミングで、スナップエンドウを加えるのがポイントです。

ちょっとクセのあるラム肉も、お好きなスパイスを使ったり、ソースをアレンジするだけで、食べやすくなります。にんにくをきかせた焼肉のタレで焼くだけでも美味しいです。

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まとめ

L-カルニチンは、エネルギーを作り出すミトコンドリアの働きをアシストする大切な栄養素です。

不妊治療の現場でもL-カルニチンの効果が注目されています。

卵子の質や精子の運動性、体外受精における妊娠率の向上など、赤ちゃんを望むご夫婦にとって今すぐにでも摂取したい栄養素といえますね。

食事だけでなくサプリメントも上手に活用しながら不足しないようにしたいですね。