鉄分は現代人に不足している栄養素の代表といわれています。とくに、月経、妊娠、出産、授乳と若年から高齢まで、鉄分を必要とする女性は鉄欠乏症貧血になりやすく、めまいや立ち眩みを経験したことがある人は多いと思います。
自分はとくに貧血じゃないから大丈夫~と思ったべビ待さんは、ちょっと待って!!鉄分不足は貧血だけでなく、妊娠の妨げにもなるんです。
鉄分は、高温期に分泌される女性ホルモン(黄体ホルモン)の分泌に必要な栄養素って知ってましたか?
黄体ホルモンが不足すると、子宮内膜が厚くならなかったり体温が上がらないなど、妊娠しにくくなってしまいます。黄体ホルモンに必要な鉄分ですが、鉄は粘膜をつくる役割があるため子宮内をキレイに整えます。妊娠するために鉄分は必要な栄養素なんですね。
鉄分は排卵にも関係しているため、なかなか排卵しない、無排卵、排卵日がはっきりしない、排卵から高温期へスムーズに移行しないなど、排卵に関するお悩がある方は、鉄分が不足しているかもしれません。これから赤ちゃんが欲しいと思っている女性は、積極的に鉄分を摂取してほしいと思います。
女性の4人に1人が鉄分が不足していて、2人に1人が鉄不足予備軍というデータもあります。結構な割合ですよね。日頃から気を付けている方も、もしかすると1日に摂る量が少ないのかもしれません。
まずは簡単にできるセルフチェックをしてみましょう。
あなたは大丈夫?隠れ鉄不足かも?
セルフチェックの前に、どうして隠れ貧血になるの?健康診断でもチェックしてるし大丈夫なのでは…?という疑問を解決!
貧血は、ヘモグロビン(Hb)という値でチェックしていて、男性13mg、女性12mg以上が正常値です。
貧血と言われない限り、普段は気にしない鉄分ですが、最近は「隠れ貧血」と言って、検査結果は正常なのに貧血の症状が現れる、または潜在的に貧血の状態の方が増えています。
なぜ潜在的かというと、ヘモグロビンだけでは隠れ貧血は見つけることができないからなんです!鉄分は健康診断では見かけない「フェリチン」という項目が重要です。フェリチンは鉄の貯蔵庫で、ここから鉄分は使われていきます。
ただでさえ毎月の生理で鉄不足になりやすい女性は、このフェリチンに余裕があるかどうかがチェックのポイントです。このフェリチンは、血液検査の中でもあまり検査されない項目なので、「隠れ貧血」の女性が多いんです。
鉄不足セルフチェック!
- 立ちくらみやめまいを感じる
- よくあくびがでる
- 爪が割れやすい
- 爪が反り返ったり凹んだりしている
- あっかんべぇをした時に下のまぶたが白い
- 動悸や息切れを感じやすい
- 肩がこる
- 冷え性
- 肌や髪のツヤが気になる
- 足がむずむずして眠れない
- 氷をバリバリ食べたくなる
- 朝起きるのが辛い
ひとつでも当てはまると、鉄不足の可能性があります!足がムズムズする感覚は、鉄分が神経伝達物質の伝達にも関わっているからで、安静にしている時に起こりやすいため、なかなか寝付けなくて辛いという方もいます。
肩こりや冷え性は鉄分の影響だけではないですが、なんとなく気になっていた症状が鉄分補給で改善するかもしれません。
鉄分のうれしい効果
鉄分は妊活のためだけでなく、女性らしさにも欠かせない栄養素。その効果を知ることで鉄プラスの食事メニューを意識してもらえると嬉しいです。ここでは鉄分をとることで得られる嬉しい効果をご紹介したいと思います。
鉄分で肌や髪の艶アップ!
血液と一緒に酸素を運ぶ役割をする鉄分は、新陳代謝をよくして肌のターンオーバーや髪の生え代りを手助します。チェックリストにもあった爪の変化も、同じことが言えます。爪がきれいな女性って、清潔感があって素敵ですよね。
毛細血管からきちんと酸素を運ぶと、コラーゲンの合成も進んで、みずみずしいお肌やうるツヤ髪に生まれまわります。
鉄分で疲労を回復!
体のどの器官も、酸素によって細胞が活性化されます。酸素が上手く運ばれていないと、老廃物や疲労物質を取り除く機能も低下してしまい、疲れが取れにくい体に。なんとなくやる気が出ない、疲れやすいな、と思った時は鉄不足かも!?
免疫力アップ
病原体と戦う白血球は、鉄分が少ないとその働きが低下して細菌やウイルスに感染しやすくなります。熱を産生する力も弱くなるため、体温維持にも影響が出て、免疫力の低下に拍車をかけてしまいます。
鉄分をしっかり摂ることで、白血球を手助けして免疫力アップにつながります。
鉄分の過剰摂取といわれる量はどれくらい?
体に嬉しい効果がたくさんある鉄分ですが、鉄分を過剰に摂取してしまうと、頭痛や吐き気、下痢といった症状が出ることがあります。
1日に必要な鉄分は、男性10mg、女性12mg、妊娠後期や授乳中は20mg。
1日に40mg以上の鉄分を継続的に摂ると過剰摂取になるといわれていますが、40mgというと、スーパーのほうれん草なら15袋を生で食べたくらいの量です。レバーなら1㎏。そんな大量に毎日食べ続けることなんてないですよね。
食事から意識して鉄分を摂取したり、サプリメントの目安量を守って飲んでいれば、過剰摂取を心配する必要はありません。病院から処方された鉄剤やサプリメントはきちんと用量を守って飲むことが大切ですね。
鉄分が多く含まれる食品一覧
鉄分は「動物性」と「植物性」に分かれています。
ヘム鉄と呼ばれる鉄分が動物性で、肉や魚に多く含まれていて、吸収されやすい鉄分ですが、カロリーが気になる食材が多いんです。
非ヘム鉄は植物性で、海藻類やほうれん草に含まれるためヘルシーですが、吸収率がヘム鉄より劣ってしまうため、非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂るなど工夫が必要です。
それぞれのメリットデメリットを知って、上手に補いましょう。
ヘム鉄
豚レバー 13mg | 鶏レバー 9.0mg | かつお節 5.5mg |
しじみ 4.3mg | 牛レバー 4.0mg | あさり 3.8mg |
牛モモ赤身 2.7mg | かつお 1.9mg |
※食品成分表 100gあたり
鉄分と言えばレバーですね。なかなか自宅で調理することは少ないかもしれませんが、レバニラ炒めが定番です。レバーパテをパンやクラッカーのお供にすのもオシャレですね。
非ヘム鉄
乾燥ひじき 55mg | 焼き海苔 1.4mg | ごま 9.9mg |
切り干し大根 9.7mg | きなこ 9.2mg | 卵黄 6.0mg |
油揚げ 4.2mg | 小松菜 2.7mg | ほうれん草 2.0mg |
※食品成分表 100gあたり
ひじきは鉄分がしっかり補えそうですね。海藻類には葉酸も含まれるため、妊活中のプラス1品におすすめです。
ドライフルーツやアーモンドも鉄分が豊富です。鉄分と言えばプルーンが有名ですが、プルーンの3倍の鉄分を含む白いちじくは優秀おやつです。むちっとした食感で甘みが凝縮したドライ白いちじくは、ダイエット中やちょっと甘いものが欲しい時に最適です。
植物性の鉄分は、排卵障害に効果的という研究結果も発表されていて、妊活や不妊治療中に意識して補いたい栄養素でもあります。女性らしく元気に過ごすために、日頃から鉄分を上手に補っていきたいですね。