※この記事は現役の薬剤師が監修しています。
不妊の原因は女性の方ばかりではなく、男性側に何らかの問題がある場合もあります。
例えば、精子の量や質、性交渉に問題がある場合などがある場合です。
そのような男性の不妊を改善するためには、漢方を使って体力を増進し、疲労を回復することも効果があるのをご存知でしょうか?
漢方は体質やお悩みによって選ぶことが大事であるため、今回はその選び方と使い方について着目してお話ししていきます。
なぜ男性の妊活に漢方が適しているのか?
不妊というと子供を宿す女性側の問題と思われがちですが、男性側に実は問題があったという場合も少なくありません。
男性不妊の原因として最も多いのが、精子に問題があるケースです。精子が十分に作られず、精子の運動性が悪いなどの原因が考えられます。
このような男性不妊に陥る背景として実は次のような生活習慣や不摂生、ストレスなどが関係していることがあります。
・タバコ
・加齢
・睡眠不足
・夜勤が多い、不規則な生活
・アルコールの摂取
・心理的なストレス
・疲労
・食生活の乱れ
これらのような原因により身体的・精神的なバランスが乱れると、自分自身を防御することが優先されてしまい子供を作りにくい状態になってしまいます。
漢方薬は精子を増やして、動きを改善するというような直接的な作用はありませんが、体のバランスを整えて子作りしやすい状態へと導いてくれます。
漢方により体力が底上げされて、活力を取り戻すことができるのです。
男性の妊活におすすめの漢方薬と選び方
妊活に役立つ漢方薬には非常に多くの種類があります。その中から体質に合っていて不妊の原因に対応する漢方薬を選ぶことが大切です。
ここでは、男性不妊に比較的よく使われる漢方薬に注目してご紹介します。
仕事に追われていて疲労困憊の男性に
現代の夫婦に不妊が増えている背景に、男性側の過労、忙しい環境などが関係していることがあります。
あなたの家庭も夫婦共働きなどで、毎日忙しく過ごされていませんか?疲労困憊により子作りする体力なんて残っていない、セックスが憂鬱になってしまっているという男性には「補中益気湯」が対応します。男性不妊でもよく使われる代表的な漢方で、以下のような方に適しています。
・もともと体力が無いタイプ
・疲労と食欲不振で体力が落ちている
・肉体的な疲労が大きい
・ED(勃起不全)に悩んでいる
・栄養が足りていない
・病後・消耗性疾患で弱っている
ストレスが多くて眠れない男性に
働き盛りの男性で、ついつい頑張りすぎてしまいオーバーワークになるということは珍しいことではありません。
しかし、そのような状態が慢性化していて強いストレスや緊張を抱えているために、なかなか眠れない、眠りが浅いなどの不眠に陥ってしまうと妊活にも悪影響となります。
このようなストレス過多であまり眠れないという男性には「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」が対応します。
次のような体質の方におすすめです。
・もともとガッチリしていて健康的な体型
・過労、オーバーワーク
・プレッシャーが多い、ストレス過多
・不眠に悩んでいる
・動悸や高血圧などを伴う
年齢的な衰えを感じている男性に
若い頃と比べて性欲が落ちてきてしまった、ED(勃起不全)に悩んでいるという男性には「八味地黄丸」を使用します。
この処方に含まれている地黄,山薬,山茱萸という生薬に滋養強壮作用があり、EDの改善に効果が得られる方もいます。「腎虚」といって、ホルモン分泌が低下し、老化が始まっている人に適した漢方です。
・足腰の冷えを感じる
・トイレが近い、夜間頻尿
・白髪が増えてきた
・EDに悩んでいる
・精子数が気になっている
さらに体の衰えを感じるという方には、「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」も使われます。牛車腎気丸により精子運動率や精子数の増加が見られたという症例も報告されています。
参照:https://sset-clinic.com/medical/kanpo.html
エスセットクリニック
妊活中の男性の体調管理に漢方を役立てよう
妊活中の漢方というと女性が使うものという印象があるかもしれませんが、男性にも効果が期待できます。
漢方薬は体のバランスを整えることで、子作りしやすい状態へと導いてくれるでしょう。
ただし、不妊の状態や原因によっては漢方で対応できない場合もあります。心配な場合には、まずは医師に相談してみると良いでしょう。
※この記事は現役の薬剤師が監修しております。