子宮内フローラって何?ラクトフェリンと妊活の関係

突然ですが、「ラクトフェリン」をご存知ですか?

不妊治療の一つとして取り扱う病院が増えていますので、通院されている方は勧められたことがあるかもしれませんね。

ラクトフェリンは、膣や子宮の環境を整える働きがあることから注目されています。

妊活中のどのステップにも欠かせない「着床」に関わっていますので、お体づくりの参考にしてください。

ラクトフェリンとは?

ラクトフェリンは、赤ちゃんが飲む初乳(出産後2日~3日に出る母乳)に多く含まれているたんぱく質の一つです。

ラクトフェリンの強力な抗菌活性は、病原菌やウイルスから赤ちゃんを守る働きがあります。他にも不安やストレスから身を守り、発達を促す役割があります。

最近ではラクトフェリン入りのミルクや食品もありますので、昔ほど母乳育児にこだわる必要はなさそうです。

ラクトフェリンは母乳以外にも、涙や唾液、膵臓からの分泌液や胆嚢からの分泌液にも含まれていて、日々の健康を支えています。

ラクトフェリンには、悪玉菌を抑えて善玉菌優位の環境を作る働きがあり、腸内フローラを整えます。腸内フローラが整うと消化吸収を助けるだけではなく、免疫に作用したり美容や健康にも関わってきます。

ラクトフェリンと妊活の関係

女性の健康をサポート
ラクトフェリンが腸内フローラを整えてくれることは分かりましたが、妊活とどう関わっているのでしょうか。

妊活中に食事やサプリメントで必要な栄養を補っても吸収されなくては意味がありませんよね。腸内フローラを整えると、必要な栄養が子宮や卵巣に届いてホルモンを分泌するちからが高まります。

ラクトフェリンも吸収されて子宮に運ばれると、生理痛を緩和したり、女性ホルモンのバランスを整えて妊娠しやすい体へと導いてくれるなど、女性の体の変化に合わせた機能を発揮します。

不妊治療でも活躍!

2015年アメリカのラトガース大学やワシントン大学の研究で、これまで無菌だと思われていた子宮にも菌が存在することがわかりました。

2016年には、スペインの研究チームが不妊と膣内や子宮内の細菌の関係を調査した結果、体外受精をした方の妊娠率・着床率・妊娠継続率・出生成功率が高ことが明らかになり、子宮内フローラを整えながらの治療を推奨するクリニックが増えています。

ラクトバチルス優位群 ラクトバチルス低位群
 妊娠率 70.6% 33.3%
 着床率 60.7% 23.1%
 妊娠継続率 58.8% 13.3%
 出産成功率 58.8% 6.7%

善玉菌(ラクトバチルス)の比率が高いほど受精卵が着床し、出産率が上昇します。逆に善玉菌が少ないと他の菌が増えて、慢性子宮内膜炎を引き起こします。

研究データは体外受精のものですが、子宮内膜の炎症や感染症などが着床の妨げや早産の原因となることがわかっていますので、妊活を考える女性にとって、子宮内フローラを整える治療が普通になる日も遠くないかもしれませんね。

ラクトフェリンで免疫力を高めてストレスに負けない体へ

ラクトフェリンには、NK(ナチュラルキラー)細胞という免疫細胞を元気にする働きがあります。また、脳に働きかけて不安やストレスに抵抗する力を高めてくれます。

妊活中はストレスを感じやすくなりますので、ラクトフェリンで健康を保つことは精神面にも良い効果があると言えますね。

ラクトフェリンは食品から摂取できる?

ラクトフェリンは食品から摂取できる?
ラクトフェリンは、母乳や生乳に多く含まれています。乳製品ならどれでも手軽に補えそうですが、65℃で30分以上の加熱処理をすると成分が壊れてしまいます。

そのため、加熱処理をする牛乳や乳製品にはほとんど含まれておらず、食品から摂るには加熱しないヨーグルトやナチュラルチーズがおすすめです。

ラクトフェリンを選ぶポイントは?

妊活中は、着床しやすい子宮環境を整えることが大切です。

ラクトフェリンが体内で働くには、小腸の表面にあるラクトフェリンを受け取る受容体まで届ける必要があります。

ラクトフェリンは、胃酸やペプシンという消化酵素によって分解されやすいため、そのままだと受容体で吸収されず子宮で働くことが出来ないんです。

そのため不妊治療をしている病院では、腸まで届くよう胃酸で溶けない加工をしているサプリメントや直接送り込める膣剤が使用されています。

着床や妊娠維持のためには、ラクトフェリンなら何でもいいというわけでは無いんですね。

腸溶性ラクトフェリンと非腸溶性ラクトフェリン

ラクトフェリンのサプリメントには、「腸溶性」と「非腸溶性」の2種類があります。

非腸溶性ラクトフェリン

赤ちゃんは、胃の消化機能が未熟なため、そのままでもラクトフェリンを腸から吸収することができます。

ですが、大人になると消化器官が発達し、熱や消化酵素に弱いラクトフェリンは胃で分解され壊れてしまいます。

非腸溶性のラクトフェリンは、1日1,500~3,000mgの摂取で腸内フローラを整えるなど、一定の効果が得られることが分かっています。

ラクトフェリンは胃で分解されてしまうため多くのラクトフェリンが必要となります。

最近では、ラクトフェリン入りのヨーグルトやサプリメントが販売されています。

ラクトフェリン入りのヨーグルトは値段も手ごろで、胃腸炎や食中毒の一因であるノロウイルスの感染予防、インフルエンザの症状軽減の効果も期待できるため、妊活中の体調維持におすすめです。

腸溶性ラクトフェリン

腸溶性のサプリメントは、表面に特別なコーティングをすることで強酸性の胃液で溶けない加工がされています。

腸まで成分が壊れずに届くため、1日の摂取目安は300mgとなります。

胃で分解されないことはもちろんですが、錠剤が腸に届いたときにきちんと溶けることが大切です。

腸溶性の加工には特許を取得するほど特別な技術が必要となるため、カプセルタイプのサプリメントもあります。

特別な加工が必要な腸溶性のサプリメントは、非腸溶性ラクトフェリンのものより価格が高いのが一般的です。1ヶ月分で5,000円台~1万円近くするものまであります。

サプリメントによっては、乳酸菌などが一緒に配合されている場合もあり、肝心のラクトフェリンが少ししか入っていないこともあります。ラクトフェリンの含有量や追加成分をチェックしましょう。

まとめ

全ての着床障害が子宮内フローラの影響とは限りませんが、ラクトフェリンで着床しやすい環境を整えるられるなら試してみる価値はありそうです。

ラクトフェリンには腸内環境を整える働きもありますので、着床しやすい環境を整えることも妊活の一つとして取り入れてみてはいかがでしょうか。