妊活中に読みたいオススメ書籍紹介

妊活ビギナーさんから、不妊治療を本格的に始めた夫婦のヒントになる本まで、妊活中に参考にしたいおすすめの書籍をまとめました。どんな本を選べばいいか分からないという方のために、卵子のこと、不妊治療中に読みたい、男性不妊、妊活中の体づくりと不妊治療のことと、カテゴリ別に紹介します。

すべての女性に知ってほしい卵子のこと

卵子老化の真実

卵子老化の真実

著者:河合蘭

発行所:文藝春秋

本当のところ何歳まで産めるの?とう帯が印象的な本です。日本で唯一の出産ジャーナリストの河合蘭さんが、誤った情報による不安を解消するために、不妊治療について徹底取材された内容がまとめられています。

体外受精の成功率や体外受精後の流産率も載っていて、タイトル通り、見た目は若くても卵子は着実に老化していくことについて、繕うことなく正直に書かれています。

表紙からは難しそうな印象を受けますが、大切な時間を無駄にしないためのヒント(クリニック選びや治療方法)や、不妊治療=体外受精ではないなどのアドバイスもあります。ただ現状について知るだけでなく、励まされ参考になる内容になっています。

産みたいのに産めない~卵子老化の衝撃~

産みたいのに産めない~卵子老化の衝撃~

著者:NHK取材班

発行所:文藝春秋

2012年のNHKクローズアップ現代で放送され、大きな反響があった「産みたいのに産めない~卵子老化の衝撃~」の取材内容が書籍化されています。

取材によって、年齢を重ねることで出産のリスクが高まることは知っていても、卵子が老化が不妊に繋がるということが知られていないことが分かり、卵子老化の真実から卵子提供、卵子凍結の現実など、卵子のことが詳しくわかります。また、男性不妊を知らずに招いた卵子の老化など、男性不妊にも着目した内容も書かれています。

海外と日本の不妊治療の比較など、社会問題としてまとめられているため分厚い1冊ですが、長年の取材内容と7000件のアンケートから見えてきた不妊治療の本音が書かれていて、新居には子ども部屋がある、子どもはいいの?なんでつくらないの?という何気ない言葉に傷つくなど、誰にも言えずに続く精神的負担もリアルに取材されています。

こちらの2冊の本は2013年にまとめられていますが、私の30代の友人は「40歳くらいでも産めるでしょ?芸能人も産んでるし」と話し、まだまだ卵子の老化について知られていないのが現状だと痛感しています。

本当のことを知るのを躊躇してしまう卵子のことですが、向き合うことで考え方や行動が変わることもあります。これから妊娠を望んでいる方、妊活を始めたばかりの方にも、知っておいてほしいメッセージが詰まっています。

不妊治療中にの悩みに参考にしたい本

Dr.おっちいのAMH学・卵子の数と体外受精

Dr.おっちいのAMH学・卵子の数と体外受精

著者:越知正憲(おち夢クリニック名古屋 院長)

発行所:株式会社シオン

AMH=妊娠率ではないと分かっていても、卵子の残りの数と聞くとどうしても気になってしまうAMH。名古屋の不妊治療専門クリニック院長の越知正憲先生が、そもそもAMHとは何か、AMHは周期によって違う?AMHが低いと必ず体外受精じゃないといけない?など、AMHの気になる情報が分かりやすくまとめられています。

検査を受けるか悩んでいる方も、一歩を踏み出す勇気をもらえる内容です。イラストも含まれながら、AMHやその他の検査、不妊治療そのものに対して正しい知識をもってほしいという先生の願いが込められた1冊です。

流産をしない繰り返さない 着床前スクリーニングQ&A

流産をしない繰り返さない 着床前スクリーニングQ&A

著者:大谷徹郎(神戸ARTレディスクリニック院長) 大石洋子

発行所:はる書房

自分自身が不妊症に7年間悩んだ大谷院長が、「知りたい」という方に正確な知識と選択肢を提供するために、クリニックで着床前スクリーニングを行っている内容をまとめた本です。日本産婦人科学会では認めらていない検査ですが、大谷先生のようにPGSを取り入れている病院は、数件ですが存在します。

日本産婦人科学会では、着床前診断(PGD)は認定施設で認められていますが、着床前スクリーニング(PGS)は学会としては認めないというのが現状です。ただ、大谷医師のようにPGSを取り入れている病院もあり、病院によって対象となる条件が違います。

流産と年齢の関係や、卵子の老化が流産の原因となる理由、着床前スクリーニングのその効果やメリットについて詳しく紹介されています。そもそも染色体って何?グレードと染色体異常は関係がある?などQ&A方式でありながら、1つ1つしっかり解説されています。この検査によって妊娠率が上がり、流産率が下がるけど、正常卵をみつけられない可能性もあるなど、着床前診断についてデータともに理解することができます。

ハッピーブレッシングでも、着床前の検査について先生から話があり、どうするか悩んでいるという相談もあります。命の選別をするみたいで気が進まない…という声も多いですが、つらい経験を繰り返す夫婦にとってはこの診断で救われた人もいます。つらい経験に悩むご夫婦にとって、着床前スクリーニングによる現状を正しく知って、選択の材料にしてほしい1冊です。

夫婦で読みたい!男性不妊について

妊活カップルのためのオコト学

妊活カップルのためのオコト学

著者:小堀善友

発行所:株式会社メディカルトリビューン

2016年のNHKクローズアップ現代で取り上げられた「精子老化の新事実」解説されていた、獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科の医師小堀善友先生の本です。「男を維持する精子力」という本で有名な岡田弘医師とともに、男性ならではの悩みを治療してみえる先生です。

精子についてのQ&Aや、精子が受ける酸化ストレスやよくない生活習慣、精子のためにできることについて専門家目線のアドバイスがあり、説得力があります。ライター、イラストレーターで不妊治療を経験した吉田潮さんとの対談もあり、ユニークでありながら精子のことがよく分かる1冊です。

小堀医師は、「男性は検査結果によっては自分のせいで妊娠できないと落ち込んでしまいがちですが、医療的にフォローできることも知ってほしい」と話しています。

男性不妊の研究結果を交えながらの内容なので、ドキッとするようなこともありますが、夫婦で問題点を共有し、理解し合ってほしいという思いが伝わり、男性も何か始めてみよう!と思える1冊です。

「ヒキタさん!ご懐妊ですよ」~男45歳・不妊治療はじめました~

「ヒキタさん!ご懐妊ですよ」

著者:ヒキタクニオ

発行所:株式会社 光文社

著者であるヒキタクニオ先生が、45歳の時に35歳の妻と不妊治療を始めてからの5年間を描いた体験記です。タイミングから人工授精、体外受精、顕微授精の経験と、辛い流産など、男性目線の不妊治療との闘いと、困難を乗り越えて妊娠、出産に至るまでが描かれています。

「こんな容器にどうやって入れるんだ!」と、男性ならではの思うことや、男性にも年齢の壁があること、ステップアップへのとまどいなど、男性の検査や不妊治療への思いが感情豊かに描かれていて、男性こそ共感できることが多い内容になっています。ヒキタさんは治療に積極的なタイプで、不妊治療ではなく、「懐妊トレーニング」と名付けて治療に励んでいる姿も印象的です。

男性不妊についてカミングアウトした本がまだまだ少ないので、男性不妊でお悩みの夫婦の励みになる、貴重な1冊です。

妊活中の体づくりと不妊治療のこと

卵子の老化に負けない「妊娠体質」に変わる栄養セラピー

卵子の老化に負けない「妊娠体質」に変わる栄養セラピー

著者:古賀文敏 定真理子

発行所:株式会社 青春出版社

不妊治療に長年携わっている古賀文敏ウィメンズクリニック院長の古賀文敏先生と、新宿溝口クリニックチーフ栄養カウンセラーの定真理子さんによる、妊活中に役立つ栄養の摂り方についてまとめられた本です。栄養カウンセラーの定さんは、栄養療法によって自身の不妊も克服されています。

クリニックの先生は治療メインのイメージなので、栄養面と妊活について研究やアドバイスをしているのが、多方面からサポートしてくれていてうれしいですね。卵子の老化は食い止められないものですが、打つ手がないかというと、そうではない、という言葉に勇気づけられます。

妊娠までのプロセスにどういう栄養が必要か分かっていても、何をどう食べたらいいのか分からないという方のために、チェックリストから自分に必要な栄養素を導き出し、具体的にどう気を付けたらいいか教えてくれます。

丁寧な診察で有名な不妊治療専門医と、自身の体験から栄養についてアドバイスをしてくれる、心強い1冊です。

子宮を温めれば妊娠体質になる!

子宮を温めれば妊娠体質になる!

著者 宮崎圭太(StudioShuca鍼灸治療院代表)

発行所 株式会社自由国民社

鍼灸師の宮崎圭太先生が、原因不明の不妊や何となく抱えている不調は、血の巡りが悪く冷えていることが問題という考えのもと、東洋医学の視点から冷えについてまとめた本です。

ただ冷え改善の方法を説明するだけでなく、体が機能するために、血液できちんと栄養を届けないといけないということを、妊娠の仕組みや血液が果たす役割と絡めて紹介してくれるため、納得して冷えに取り組める1冊です。

食事、睡眠、運動など、カテゴリ別になっているため、続けられそうなセルフケアを上手に選んで取り組むのもいいですね。

ダメモトで…と後から冷え改善にチャレンジする方も多いですが、温かい体づくりは面倒で時間のかかるものです。早いうちから冷えについての知識をもって取り組んでほしいという思いで選んだ本です。

不妊治療を考えたら読む本~科学でわかる「妊娠への近道」~

不妊治療を考えたら読む本~科学でわかる「妊娠への近道」~

著者:浅田義正(浅田レディースクリニック理事長) 河合蘭

発行所:株式会社 講談社

不妊治療の第一線で活躍中の専門医と、先ほど紹介した「卵子老化の真実」の河合蘭さんが、科学的根拠のある「妊娠のコツ」を解説しています。

妊娠の仕組みや不妊検査の最新情報、浅田医師のもとではどのような理由からこの治療が行われているのか、専門医目線で根拠に基づいてまとめられているため、今の不妊治療とはどういうものかを理解するのに最適な1冊です。不妊治療も視野に入れて妊活をしている方から、同じ治療が続いていて治療内容を見直したい方にも参考になります。

浅田医師のもとに通院されている方が、「頑張ります、と言ったら、頑張るのは私たちの方なので任せてくださいね」と先生から言葉をもらい、本当に勇気がもらえたとお話を伺ったことがあります。この本の中でも、誰にでも良い魔法の治療はなく、自分に合った治療方法を最新の知識を持って選んでほしいという思いが書かれていて、患者側の思いに沿った内容になっています。

まとめ

医師監修の書籍を多く挙げましたが、医師によっても様々な考え方があります。ただ、どの妊活本にも共通して言えるのは、多くの情報に惑わされず、妊活する側も正しい知識を持って自分に合った方法を選択してほしいう思いが込められていることです。納得して取り組める妊活や治療方法を知るきっかけに、妊活本を参考にしてみてくださいね。