体外受精の基本的な流れ・スケジュール解説

体外受精は、普段は子宮の中で行われる卵子と精子の受精を体の外で行い、受精したのち培養して分割した卵(胚)を子宮に戻す方法です。タイミングや人工受精からのステップアップや、体の状態や年齢を考慮してすすめられます。

体外受精は、卵子を育てる→採卵→受精→移植(着床)という流れで行いますが、それぞれのステップでどのような治療をするかによって、体への負担や費用が違ってきます。

基本的な流れ

体外受精の流れ

説明会

体外受精の前には、治療の進め方や費用などの説明を受けます。培養士の方が直接説明してくれる病院と、大まかな流れや費用についてを他のご夫婦と一緒に聞いてから、個別の面談で質問などに対応してくれる病院があります。体外受精コーディネーターや不妊カウンセラーなど、専門のスタッフに相談ができる病院もあります。専門スタッフへの相談は、有料となる場合があります。

治療のスケジュールを決める

生理が始まって数日後に血液検査で卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)、卵胞ホルモンのエストラジオール(E2)の数値を調べます。卵巣に全周期の卵胞(残留卵胞)が残っていないかを超音波で確認します。ホルモン値が基準を満たしていない場合でも、卵巣や子宮内膜の状態がよければ、スケジュール通りに治療を進める場合もあります。

体外受精を進めるのに基準となるホルモンの値

【 FSHとLH:10mIU/ml以下 】
【 E2:50pg/ml 】

検査の結果やこれまでの治療歴、体の状態などを考慮しながら、自然周期で卵胞を育てるか、排卵をコントロールしながら卵巣刺激をして卵胞を育てるのかなど、治療の進め方を決めていきます。病院の方針や先生の考え方によっても治療内容が違います。

卵胞の育て方

自然周期では、排卵誘発剤を使わずに卵胞を育てます。採卵できる数は少ないですが、体への負担が軽く質の良い卵子が期待できます。卵巣刺激では、排卵誘発剤などの薬を使いながら卵胞を育てます。薬による体への負担が大きくなりますが、たくさんの卵胞を育てることができます。

採卵

採卵は、十分に成熟させた排卵前の卵子を卵胞液ごと卵巣から取り出します。膣から経膣超音波を入れ、超音波で確認しながら、採卵専用の針で卵胞と卵胞液を採取していきます。卵子の数が少ない場合は麻酔をしないこともありますが、痛みに弱い方は麻酔をお願いしたほうがリラックスできます。

採卵の翌日にはいくつ受精したかわかります。病院によっては、電話で結果を確認できるところもあります。

胚移植

培養器で育てた胚を子宮に戻すことを「胚移植」といいます。移植の方法には、採卵後3日~5日以内にフレッシュ胚を子宮内に戻す方法と、受精卵を一度凍結して次回以降の周期に解凍して子宮内に戻す方法があります。また、1個だけを戻す方法、2個戻す方法、日にちをずらして2段階で戻す方法など移植方法も様々です。どの方法がよいかは、採れた卵の数や、胚の分割状態などによって違います。

病院によって考え方が違う

体外受精を受けるには、肉体的にも金銭的にも負担が大きいため、チャレンジするのに慎重になられている方も多いのではないでしょうか。病院や医師によって治療方針や考え方が違うことがあります。体外受精の説明会を定期的におこなっている病院もありますので、参加してみるのもいいですね。ホルモンの状態や年齢、卵巣機能を考慮して、一番良い治療法を受けていただきたいと思います。