新鮮胚移植と凍結胚移植、妊娠しやすいのはどっち?

体外受精で胚移植をする際、新鮮胚(フレッシュ胚)と凍結胚のどちらが妊娠率が高いのでしょうか?

この記事をご覧になっている方の中には、新鮮胚と凍結胚、どちらの胚を移植しようか悩んでいる方もみえると思います。

新鮮胚と凍結胚の移植について、それぞれメリット、デメリットをまとめましたので参考にしてください。

新鮮胚と凍結胚、どちらの方が妊娠率が高い?

新鮮胚と凍結胚、どちらの方が妊娠率が高い?

結果的に言うと、新鮮胚よりも凍結胚の移植の方が妊娠率が高いという統計が出ていて、最近は凍結させた胚を移植する方法が主流となっています。

ですが、新鮮胚だからといって妊娠率が下がるというわけではありません。

いったいどうゆうことなの?どっちがいいの?それぞれのメリット、デメリットを知ることで自分にあった移植法を選んでほしいと思います。

メリットとデメリットの前に、新鮮胚と凍結胚について簡単に説明します。知ってるよ!という方は飛ばしてください。

体外受精では、採卵した卵子を受精させ、受精卵を子宮の中へ移植して着床を待ちます。

「新鮮胚移植」とは採卵した卵子を受精させてその周期の高温期に移植する方法。

「凍結胚移植」とは受精卵を一度凍結させて翌周期以降に移植する方法です。

新鮮胚よりも凍結胚の方が妊娠率が高くなったのは2000年頃からと言われていますが、以前は凍結の際の細胞へのダメージが大きい緩慢凍結法という凍結技術が主流でしたが、胚の状態に合わせた微調整ができず、凍結胚の生存率はあまりよくありませんでした。

今では受精卵の凍結によるダメージが少ないガラス化法という凍結技術が確立されたことで、凍結胚の生存率が上がり、新鮮胚と凍結胚での妊娠率が逆転しています。

新鮮胚移植のメリット・デメリット

新鮮胚移植では、胚を凍結したり解凍したりしないため、胚が受けるダメージが少ないというのが最大のメリットではないでしょうか。

また、凍結胚に比べて費用や、移植までの通院回数を減らすことができ、金銭面での負担を軽減できるのも新鮮胚移植のメリットと言えます。

新鮮胚を移植するデメリットとしては、採卵してすぐに移植をするため、子宮内膜を十分に厚くさせる準備ができないことです。

もちろん、新鮮胚移植のときも黄体ホルモンの投与で内膜を厚くしていきますが、普段から内膜が厚くなりにくいなどが分かっている場合は、次の周期で内膜の準備をしっかり整えるほう安心ですよね。

凍結胚移植のメリット・デメリット

受精卵を凍結するためには、凍結に耐えられる受精卵を選ぶことになります。

さらに解凍した後も、良い状態の受精卵でなければ途中で胚の成長が止まってしまい移植することができません。この2つのポイントをクリアできた丈夫で良質な受精卵のみ移植が行われます。

凍結胚移植の最大のメリットは、黄体ホルモンの投与などによって子宮内膜が厚くなるまで何周期でも移植を見送ることができる点です。

また、戻す胚の数や移植のタイミングを事前に調整してベストな体調で移植できるのも凍結胚のメリットといえます。

だったら凍結胚を移植した方がいいような気もしますが、凍結胚移植のデメリットもあります。

いくら凍結の技術が向上したといっても受精卵を凍結したり解凍した時のダメージは0ではありません。数値的には5~10%前後の確率でグレードがダウンする可能性があります。

5~10%の確率が低いのか高いのかは採卵できた数によっても違うと思いますが、凍結してみないと分からないことですし、凍結に耐えられた強い受精卵を移植できるという見方もできます。

費用面での負担の大きさも凍結胚のデメリットの一つです。

採卵数が多いのは嬉しいですが、採卵した数によって凍結や保存、解凍にかかる費用がプラスされていきます。

病院によって凍結費用が違いますので事前に確認してくださいね。

まとめ

ベストな選択

胚のダメージを最小限にするか、内膜をしっかり厚くするか、移植を受ける側にとってはとても悩む場面ですよね。

採卵で質の良い胚が複数個採れた場合、身体のリスクが無い状態であれば、採卵周期に新鮮胚移植を行い、残りを凍結保存する選択もありかもしれません。

凍結胚が新鮮胚よりも妊娠率が高い理由は、凍結すること自体に効果があるというよりも、必然的に質の良い受精卵が選ばれるということなんですね。

自然周期での採卵など採卵数が限られている場合は一つ一つの選択が重要になってきます。

どちらを選ぶのかは、受精卵の数や体の状態などを医師とよく相談してベストな選択をしたいですね。