性腺刺激ホルモンと性腺ホルモン
女性ホルモンといえば、エストラジオール(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が代表ですね。
この2つのホルモンについては知っている女性も多いと思いますが、FSHとLHについてはよくわからない、という方が多いのではないでしょうか。
女性のホルモンはとても複雑で様々なホルモンが絡み合いバランスを取りながら形成されていますが、女性ホルモンを「指令ホルモン」と「働きホルモン」にわけると理解しやすくなります。
指令ホルモン=性腺刺激ホルモン。
働きホルモン=性腺ホルモンです。
言葉は似ていますが分泌されている場所が全く違います。
性腺刺激ホルモンは、脳下垂体から出ていて、FSHとLHの2つの種類があります。
性腺ホルモンは、卵巣内の卵胞で作られ、E2(エストロゲン)とP4(黄体ホルモン)の2つの種類があります。
ちょっとややこしいですが、脳から出る性腺刺激ホルモンによって卵巣が刺激され性腺ホルモンが作られます。なので順番的には性腺刺激ホルモン→性腺ホルモンという感じです。
ここでは、脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンのFSHについて、できるだけわかりやすく書いてみたいと思います。
FSHとはFollicle-Stimulating Hormoneの略で、日本語では卵胞刺激ホルモン(下垂体性ゴナドトロピン)と言います。FSHは脳下垂体から分泌される女性ホルモンで、FSHが分泌されると卵巣が刺激され、卵胞を成長させるエストロゲンが上昇します。
エストロゲンを出す役割を担っているホルモンがFSH(卵胞刺激ホルモン)ということですね。
ちなみにLHとはLutenizing Hormoneの略で、日本語では黄体形成ホルモン(下垂体性ゴナドトロピン)と言います。こちらもFSHと同じく脳下垂体から分泌される女性ホルモンです。
LHが分泌されると卵巣が刺激され、子宮内膜を育てる黄体ホルモンが上昇します。卵胞を黄体化させるために必要な着床に関わる大切なホルモンといえます。
FSHの正常値とは?
FSHは卵巣を刺激して卵胞を育てるホルモンです。生理3日目~7日目あたりに血液検査によって調べます。この期間に調べるFSHは基礎値といって、卵巣機能がどれくらいあるかをみる指標となります。
卵胞期のFSHの正常値は3.5~12.5(mIU/ml)
排卵期は4.7~21.5(mIU/ml)
高温期は1.7~7.7(mIU/ml)
とされていますが、チェックするのはやはり卵胞期のFSHの値です。ここでは3.5~12.5と教科書通りの数値を書きましたが、12.5なら正常値だから安心、ということでもないんです。
FSHが高いとどうなる?
卵胞期にFSHの値が高い場合、どのようなことが考えられるでしょうか。数値が高いんだからホルモンがたくさん出てていいのでは?と思いますが、ホルモンがたくさん出過ぎている状態はよいとはいえないんです。
本来ならそんなにたくさんホルモンを出さなくても卵胞は育つので、FSHの値も3~10くらいの数値で収まりますが、なかなか育たない状態だと、頑張ってホルモンを出さなければ!と過剰に反応してFSH値が高くなってしまうんです。
高FSHになると卵胞は育っても空卵(卵子が入っていない)や未熟卵だったりすることもあり、卵子の質が高いとはいえません。
体外受精で採卵する場合は、卵胞刺激ホルモンをたくさん使ってもよい卵が採れなかったり、採卵できても受精しない、胚のグレードがよくない結果になることもあります。
どうしてFSHが高くなるの?
そもそもどうして過剰にFSHが分泌されてしまうのでしょう?一番は年齢による卵巣機能の低下が考えられます。卵巣の機能が低くなると卵胞がなかなか育ってくれず、がんばって育てなきゃ!と過剰反応して脳下垂体からFSHがたくさん出てしまうんです。
次に不妊治療の薬による機能低下が考えれます。赤ちゃんを授かるための不妊治療で卵巣の機能が低下するなんて信じられないですよね。
不妊治療で使うHMG(ヒト閉経ゴナドトロピン)は、卵巣に刺激を与え卵胞の成長を促す優秀な薬なのですが、体がHMGに慣れてしまうと少量のHMGでは卵胞が育たなくなり薬の量が増えていくことがあります。
そうすると今度は自力で卵胞を育てようとする力が衰え、その結果、過剰にFSHを放出して卵胞を育てようとします。これが高FSH状態です。
HMGを使わなければいい?
FSHが高いと卵胞の成長がうまくいかないので、やむを得ず卵胞を育てる注射(HMG)を使うことが多くなります。そしてHMGを多用するとまた卵巣機能が低下して・・・と負の連鎖がはじまることも。
FSHを正常に戻すにはどうすればいい?
卵巣機能が低下している状態は、わかりやすく言うと卵巣が疲れてヘロヘロ状態なのに、おしりをペンペン叩いて「休むんじゃない!FSHを出して卵巣を刺激しろ!」と脳が命令している状態なので、まずは卵巣に刺激を与えずに休ませる必要があります。
卵巣が本来の機能を取り戻しさえすれば、「やる気があるならFSHも普通の量に戻してよし!」と脳が判断してFSHの値も下がります。
ややこしいですが、「卵巣がヘロヘロなのにホルモンは出ている状態」ということですね。不妊治療では、FSHが高くなって卵胞刺激ホルモンが頑張りすぎてしまう前に、卵巣を休ませることも治療の一つとして考えられています。卵巣を休ませる治療としてカウフマン療法は一般的です。
まとめ
卵胞刺激ホルモンFSHは高すぎても低すぎても卵巣をうまく働かせることができません。卵巣機能が低下すると卵胞が育たず不妊の原因となります。
年齢によるFSHの乱れには、HMG薬の種類を変えたり、クロミッドなどで自然に近い形で卵胞を育てる方法もあります。
HMGの使い過ぎで卵巣が疲れてしまった場合は、カウフマンで卵巣を休ませる方法も必要かもしれません。
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体が冷えていると卵巣の機能もうまく働きません。冷えによる女性ホルモンの乱れかな?と思ったら巡りをよくする食事や運動を取り入れることも大切です。