早発卵巣不全(POF)の検査・治療法・予防法解説

早発卵巣不全は、40歳未満の若い時期に卵巣の機能が低下してしまい、生理が来なくなってしまう症状です。

早い方では20代や30代で生理が止まってしまうことがあり、無月経の約5~10%が早発卵巣不全と診断されています。

早発卵巣不全は、卵巣内の卵胞がなくなることで無月経となる閉経と違い、ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)への反応性が低下してしまうことから、ゴナドトロピン抵抗性卵巣症候群とも呼ばれています。

ゴナドトロピンは、脳下垂体から分泌される「卵胞刺激ホルモン(FSH)」と、「黄体形成ホルモン(LH)」の2種類があります。

卵胞刺激ホルモンは卵胞の発育や成熟を促し、黄体形成ホルモンは排卵を誘発するなど、卵子を排卵させる大切な働きがあるので、しっかり分泌するように整えておきたいですね。

早発卵巣不全にみられる症状

早発卵巣不全になって卵巣機能が低下すると、月経周期が39日以上90日未満の長期間にわたる「稀発月経」などの生理不順が見られます。

月経周期は乱れていても、定期的に生理があり排卵されていれば妊娠が可能ですが、放置してしまうと生理が90日以上止まってしまう「無月経」や、生理がきても排卵されていない「無排卵」になってしまうことも。。

体に現れる症状としては、イライラや疲労感、のぼせ、動悸(どうき)、頭痛、めまいなどの更年期障害に似た症状に悩まされることもあります。

早発卵巣不全の原因とは?

早発卵巣不全の原因とは?

早発卵巣不全の原因は、免疫障害や染色体異常、遺伝的なものが考えられますが、原因が特定できているのは1~2割程度です。

放射線治療や抗がん薬によって卵巣の機能が低下したり、卵巣脳腫の手術するなど、薬剤の使用によって卵巣機能が低下することがあるとも考えられています。

また、喫煙の習慣や強いストレスや、過激なダイエットも卵巣の機能を低下させる要因のとなることがあるので気をつけたいですね。

とくに喫煙では本人はもちろん、副流煙によっても体外受精の成功率が下がってしまうことがわかっていますので、家庭や職場など周りの喫煙にも注意しましょう。

早発卵巣不全の検査方法

早発性卵巣不全の診断では、問診によって過去の病気や卵巣の手術、がん治療といった卵巣機能に関わる治療歴を調べます。

血液検査では、卵巣の機能が低下すると、脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)への反応が鈍くなるため、血液中の濃度が高くなります。

判断基準としては、無月経の場合7~10日間隔で測定した2回の採血で、FSH値が2度とも40mIU/ml以上を示した場合に早発性卵巣不全と診断されます。

他にも甲状腺ホルモンの機能が低下するなど、自己免疫疾患(アジソン病、重症筋無力症、副甲状腺機能低下症、関節リウマチなど)や、染色体異常(ターナー症候群)が影響している場合もあります。

※ターナー症候群は、X染色体の一部が欠けてることで成長が妨げられ、低身長や女性ホルモンが不足してしまうといった特徴があります。

他の病気を併発している時は、それぞれの治療をしながら不妊治療を続けるられる場合もあるため、かかりつけのお医者様に相談してみてくださいね。

早発卵巣不全の治療法は?

早発卵巣不全の治療法は?

早発卵巣不全の治療は、病気そのものを治すというより、エストロゲンと黄体ホルモンを補うホルモン療法や、GnRHアゴニスト療法など対症療法がおこなわれます。

【 ホルモン療法 】

エストロゲンと黄体ホルモンを周期的投与して生理のリズムを取り戻したあと、エストロゲンと排卵誘発剤を使って排卵を促します。

ターナー症候群の方が自然妊娠できる確率は2%とも言われていますが、女性ホルモン治療や不妊治療によって妊娠・出産したというケースも多く報告されています。

【 GnRHアゴニスト療法 】

一般的にGnRHアゴニストは、排卵日をコントロールするために使われたり、子宮内膜症や子宮筋腫の治療で生理を止めたいときに使われます。

早発卵巣不全の場合は、下垂体から分泌されるゴナドトロピン値を正常化させて卵巣のゴナドトロピンへの反応性を良くすることで、排卵を促したり排卵誘発剤の効果を高めます。

【 副腎皮質ステロイド療法 】

アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症)、甲状腺機能低下症など自己免疫性疾患がある場合は、内分泌ホルモンが正しく分泌されないため、副腎皮質ステロイドホルモンを使用しながら排卵誘発剤で排卵を促します。

早発卵巣不全を予防、改善するには

早発卵巣不全にならないようホルモンバランスを整えるには、バランスの良い食事・適度な運動・質の良い睡眠など規則正しい生活や、喫煙している人は禁煙することが基本となります。

ストレスが早発卵巣不全の原因となりますので、気分転換のために体を動かしたり、趣味の時間を確保してストレスを溜めないようにしたいですね。

肥満は不妊の原因となりますが、無理なダイエットは栄養のバランスが崩れて、ホルモンバランスも乱れてしまいます。

長期の計画を立てて、ゆっくり体重を落とすようにしましょう。

【 卵巣機能を高める 】

血液の質や巡りを良くすることは、卵巣機能を高めることに繋がります。血液には必要な栄養や酸素を届けて老廃物などを取り除いてくれる働きがありますので、冷えの改善にもつながります。

血液の質を高めて代謝や免疫力を上げるには、葉緑素や鉄分、タンパク質が効果的です。

葉緑素を多く含む食品は、緑黄色野菜の中でも特に濃い緑色のものに多く、ほうれん草や小松菜、ニラなどは取り入れやすいと思います。

葉緑素を多く含むその他の食品

【 焼き海苔・パセリ・しそ・ワカメ・ブロッコリー 】

鉄分を多く含むその他の食品

【 豚レバー・鶏レバー・あさり・ひじき・焼き海苔・白いちじく 】

たんぱく質を多く含むその他の食品

【 納豆・豆腐・豆乳・ササミ・卵・チーズ 】

早発閉経は、早めに治療することで改善できることも多く、3ヶ月以上生理が来ないなど早発閉経が疑われる場合は、放置せずに産婦人科医に相談してください。

早発卵巣不全になる前に要因を取り除くためにも、日頃から自分の状態を把握して早めに対処したいですね。