昔から頭髪が薄い男性は絶倫などと言われますが、薄毛と男性ホルモンには確かに因果関係があるので、このような俗説が生まれたのかもしれませんね。
体毛の濃さ、というのは男性だけでなく、実は女性にも影響があります。
体毛とホルモンとの関係についてまとめてみました。
体毛の種類
人の体毛にはホルモンの影響で生えるものと、ホルモンに関係なく生えるものがあります。
無性毛
無性毛は、思春期より前から生えており、ホルモンの影響を受けにくい体毛のことです。
眉毛やまつげ、側頭部や後頭部の髪の毛などが該当します。
ホルモンの影響で濃い薄いが現れることはありますが、老若男女を問わず生え、毛の向きが一定なのが特徴です。
性毛(男性毛)
性毛には、男女共に生える「両性毛」と、男性のみに生える「男性毛」があります。
脇毛や陰毛が両性毛、ひげや胸毛が男性毛に分類されます。
頭髪でも、前頭部と頭頂部は男性ホルモンの影響をうける男性毛とされています。
男性ホルモンで髪が薄くなる?
男性ホルモンが多いと髪が薄くなり、体毛が濃くなる、というイメージを持たれている方は多いと思います。
これは基本的には正しいのですが、一概には言い切れない部分もあります。
毛髪に影響する男性ホルモンは主に2種類あり、それぞれ働きが違うんです。
テストステロン
男性ホルモンの代表格であるテストステロンは、筋肉や骨格の発達などを促進して男性らしさを作り出します。
体毛が濃くなるのも、テストステロンの働きによるものです。
テストステロンそのものの効果としては、発毛に必要なたんぱく質を合成する働きがあるので、髪を太く強く育ててくれるとされています。
ジヒドロテストステロン(DHT)
テストステロンが髪の根元にある毛乳頭に入り込み、Ⅱ型5αリダクターゼという酵素と結びつくと「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変化します。
このDHTが別名「脱毛ホルモン」と呼ばれ、頭髪の育成を阻害するとされているんです。
テストステロンが変化しなければDHTにならないわけですから、育毛剤として、Ⅱ型5αリダクターゼ酵素の働きをおさえるものも販売されています。
男性ホルモンが無条件に薄毛に繋がるわけではないんですね。
体毛で分かるホルモンバランス
体毛が濃くなった=男性ホルモンが優位な状態
女性でも、髪が薄くなったり、体毛が濃くなったりしたように感じる事がありますよね。
様々な原因を考えることができますが、男性ホルモンが優位の状態になっている場合が多いんです。
出産や更年期など、ホルモンバランスが大きく変化する時期に薄毛を実感する方が多いのはそのためです。
また、脳はストレスにさらされると、身を守るために抗ストレスホルモンを分泌します。
抗ストレスホルモンは男性ホルモンの分泌を促す作用があるので、働く女性が増えた現代社会では、男性ホルモンが優位な女性も増えているそうです。
PCOSの症状として体毛が濃くなる
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症状の一つとして、多毛があります。
これは、PCOSの要因として男性ホルモンの増加があるからです。
PCOSは不妊の原因にもなりますから、無月経や月経不順などと共に体毛が増えたように感じられたら、検査を受けてみるとよいですね。
検査結果に応じて適切な治療を行うことが、妊娠への早道になります。
まとめ
体毛や頭髪の濃さについてはホルモンだけでなく遺伝による要因も大きいので、こうだからこう、とはっきり言えることばかりではありません。
それでも、今の自分のホルモンバランスの状態を知るヒントになります。
体毛の濃さが前と違うと感じた時には、性別を問わず、規則正しい生活やサプリメントの活用など、ホルモンバランスを意識した生活習慣を見直すとよいかもしれませんね。