精子は弱アルカリ性が好き!?

phと精子の関係って?

女性の膣内は酸性~弱酸性に保たれています。これは、外からの雑菌の侵入を防ぎ、菌の繁殖を抑えるためです。精子は弱アルカリ性ですが、弱酸性の膣内では生きることはできないのでしょうか?

いいえ、違います。

酸性、弱酸性、アルカリ性などをph(ペーハー)値で表しますが、全体が弱アルカリ性の精子も、酸性に強いX精子とアルカリ性に強いY精子に分けられます。Y精子はXの2倍存在しますが、X精子よりも寿命が短いという特徴があります。自然と男女の割合がどちらかに傾かないようになっているみたいで、神秘的ですね。

妊娠を望む場合、排卵予定日の2~3日前からタイミングを取る方が多いと思いますが、排卵日前の2~3日前は弱酸性でX精子向けの環境に、排卵日には膣内はアルカリ性に傾いてよりY精子向けの膣内に変わってきます。

膣内のph値によって精子の動きが悪くなるの?というイメージもありますが、X精子とY精子のそれぞれの特徴に強い膣内環境が存在するというのが正しい知識です。

普段は膣内は菌から守るため弱酸性に保たれ、排卵日の女性の膣内(頸管粘液)は、弱アルカリ性に変わります。

男女の産み分けにphの値を参考にすることがありますが、産み分けにこだわらず妊娠を目的とした場合は、女性の頸管粘液がしっかり分泌されることが精子の働きを助ける重要ポイントです。頸管粘液が少ないと精子の動きは悪くなるのです。

頸管粘液の役割

女性の頸管粘液は、男性の挿入をスムーズにする目的以外に、精子を子宮まで運ぶ役割があります。粘液が少ないと、精子の動きが妨げれ、子宮に到達する精子が少なくなってしまいます。

排卵日を中心にしたタイミングを苦痛なく行うため、また頸管粘液を手助けするために、潤滑ゼリーを使う方が増えています。

「女性のための潤滑ゼリー」は、乳酸によって膣内を本来の弱酸性に保ち、弱酸性を好む善玉菌(デーテルライン桿菌(かんきん)の環境を維持してくれます。成分を弱アルカリ性にしないのは、アルカリ性に弱い善玉菌が減って雑菌の繁殖を防ぐためです。

「女性のための潤滑ゼリー」は排卵日だけの使用を目的とはしていませんので、成分をアルカリ性にして繰り返し使うと膣内環境が悪くなってしまいます。

排卵日に使用する場合も、「女性のための潤滑ゼリー」が膣内を弱酸性にしたとしても、X精子に少し優位な環境になるだけで、妊娠しにくいことは全くありません。潤いによって、精子の動きが弱まらないよう進む力を手助けしてくれます。

潤いによって苦痛なくタイミングを取ることができれば、アルカリ性の頸管粘液も自然と分泌されやすくなります。

先ほども少し触れましたが、最近ではこのph値に着目した「産み分け法」が広まりつつあります。

「産み分け」の仕組みを分かりやすくまとめると次の通りです。
「産み分け」の仕組み

精子には、男子になる精子(X)と女子になる精子(Y)から出来ています。

・膣内は弱酸性ですが、排卵日にはアルカリ性に変わります。

・男の子の精子はアルカリ性に強く、弱酸性には弱い特性があります。

・女の子の精子は弱酸性には強く、アルカリ性には弱い特性があります。

産み分け方から見ても、それぞれ酸性やアルカリ性が精子の動きを妨げるのではなく、精子のなかでも、より酸性に強い(Y)と、よりアルカリ性に強い(X)精子に分けられるということが言えます。

潤滑ゼリーで弱酸性になったとしても、排卵日に分泌される頸管粘液は弱アルカリ性なので、phに関しては気にする必要はありません。粘液量が少ない場合、潤滑ゼリーによって精子をしっかり子宮への送り込む流れを作ることの方が大切だと考えます。