卵子の老化は卵子の糖化だった!

卵子の老化というと、活性酸素による酸化を思い浮かべる方も多いと思いますが、

最近では卵子の「糖化」が老化の原因として注目されています。

「糖化」とは、細胞を作っているたんぱく質が糖と結びついた状態です。

卵子はもちろん、血液やホルモン、体の中で働く酵素までもたんぱく質が原料となっています。

たんぱく質が糖化すことと、卵子の質はどのように関わっているのか、詳しく紹介します。

卵子の糖化とは?

卵子が糖化する、というのはどういうことでしょうか。

糖は大切なエネルギー源ですが、摂り過ぎてしまうと、細胞の中のたんぱく質と結びついて、AGEs(終末糖化産物)に変化させます。

AGEs(終末糖化産物)は、細胞の老化の原因となって様々な病気や体調不良の元となる有害な物質です。

細胞の糖化は、血糖値の急激な上昇の繰り返しや慢性的な高血糖など、たんぱく質と糖が接触する時間が長くなるほど進みます。

卵子を糖化させないためには、糖質をコントロールすることが大切なんです。

たんぱく質が受精の鍵を握っている

2016年に東京大学と福島県立医科大学、大阪大学の研究チームは、精子と卵子が受精するときに、お互いを認識するたんぱく質があることを突き止めました。

精子の表面に存在するたんぱく質「IZUMO1」と、卵子の表面に存在するたんぱく質「JUNO」が結合することで受精が行われます。

どのような仕組みで認識しているのかは不明ですが、精子や卵子の表面にあるたんぱく質に欠損が多いと受精しにくいことが分かっています。

その後、2019年に名古屋大学(日本)の松田司教授の研究チームにより、卵子の周りの膜にZPIと呼ばれる、たんぱく質同士が結合して作られた立体構造の詳細が解析されました。

たんぱく質が受精に関わっているなんて驚きですね。

では、卵子を糖化させないためにはどうすればよいのでしょうか?

卵子の糖化を防ぐ食事のポイント!

卵子の糖化を防ぐ食事のポイント!
アメリカ産科婦人科学会(ACOG)は、一日の摂取カロリーの内訳と妊娠率の関係を2つのグループに分けて調べました。

①たんぱく質に由来する熱量が25%以上・糖質に由来する熱量が40%以下の食事

②たんぱく質に由来する熱量が25%未満・糖質に由来する熱量が40%以上の食事

たんぱく質をエネルギー源にした食事を中心にしている①の女性は、糖質をエネルギー源にしている②の女性に比べて、体外受精の妊娠率が4倍になりました。

高たんぱく低糖質の食事は、卵子の糖化を防いで妊娠率を高めてくれるんですね。

細胞の糖化は、血糖値が140mg/dL以上になると起こりやすくなるため、食事の内容や取り方を工夫して、血糖値の急激な上昇や長時間の高血糖状態を避ける必要があります。

食物繊維が豊富な野菜や海藻は、血糖値の上昇が緩やかな食品として知られています。食事は野菜から食べることで空腹感を和らげ、食べ過ぎを防いでくれます。

ダイエットとして知られる糖質制限も糖化を防ぐのに有効です。ただ、無理な糖質制限は、カロリー不足になってしましますので、ご飯150gを目安にして減らしすぎないようにしましょう。

不規則な食事や栄養の偏り、加工食品やお菓子の食べすぎには気をつけたいですね。

たんぱく質を多く含む食品

細胞の代謝に欠かせないたんぱく質は、約12000種類もの酵素の原料にも使われています。

たんぱく質が不足すると酵素が生成されませんので、日頃から良質なたんぱく質を摂取して代謝を上げておく必要があります。

たんぱく質を多く含む食品といえば、卵や青魚、肉、大豆製品などがあります。

ナッツ類や青魚は、たんぱく質と一緒に良質の脂質を補うことが出来ますので、妊活に適しています。

まとめ

糖と結びつく
卵子はたんぱく質で出来ているため、糖と結びついて糖化すると、老化物質が増えて卵子の質の低下に繋がります。

糖質制限糖をすることで、糖とたんぱく質が結びつく数を減らすことが出来ます。

卵子を包んでいるたんぱく質の構造が、受精に関係していることや、たんぱく質をエネルギー源にすることで妊娠率が上がるなど、妊娠とたんぱく質は密接に関わっています。

卵子の質を下げないためには、高たんぱく質、低糖質食事が大切です。ナッツ類や魚など、良質な脂質が同時に摂れる食品を食べて、健康な妊娠を目指しましょう。